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    ふたりぼっちだったら良かったのに

    迸る激情は、叫びになんてなってくれない

    箱庭の中の永遠、征服された自由

    嫌味なくらい晴れ渡る空が憎らしいの

    そんな切なそうな顔で「忘れたい」なんて言うから

    ただ、冷たい手を握り締めて

    僕だけに許された唯一の、もの

    君の残滓

    生きてみせろ、その信念に賭けて

    誰かが誓う陳腐な永遠が、泣きそうなくらい嬉しかった


    嘆かわしきは哭せよ、疑わしきは罰せよ

    知らないふりをしつづけた、小さな嗚咽

    死ぬ覚悟がある奴が生き残れるほど、甘くない

    愛してる、なんて、言えるわけない

    暖かな愛情に似た、凍てつく執着

    お前のその両手で、何が守れる

    真実がもし一つなら、君が泣くことも無かったのに

    愛しているよ、マイ・フェア・レディ

    僕らが出会わなければ、何も始まらなかっただろうか

    ただ知りたかった、その先にある何かを


    ただ、愛して欲しいだけだ

    ひとつに、なんて

    見下したはずの世界が僕を嗤う

    ピエロの涙の色を知っているか

    私の信じる正義だけが、私の真実だから

    涙が出るほど切ない音で君の心が軋むから

    分かっていたんだ、言い訳じゃなく、確信として

    この世界で君だけは、この罪を許さないで欲しいから

    柔らかい感触と暖かな鼓動に、ただ泣いていた

    強く、気高く、美しくあれ、僕の蒼よ


    机上の理論だと笑うだろうけど

    そこまでして守りたいものが俺にはなかった

    重なった掌は暖かくて何故か涙が止まらなかった

    いかないで、と、言うことができたなら

    無防備な背中を向けられることに感じた罪悪感と、優越感

    もういない君からの手紙

    ピノキオが憧れた人間は、こんなにも醜いから

    恋なんかじゃない、まして、愛なんかであるはずないわ

    贖罪のための生贄を選ぶとすれば、それは、

    僕らはきっと報復と復讐で愛を語るんだろうね


    そして彼が下す決断を、僕はただ聞くだけだ

    希望的観測の行方

    たとえこの四肢がもがれても、君の笑顔が描けるならそれだけで生きていける

    聞こえる、僕の世界の中心が上げる産声が

    愛してるなんて言い訳にもならない

    仮初の楽園でまた逢いましょう

    *ヴィンテージ物の愛を注ぐから

    見えない出口は砕け散り、残ったのは

    *ヘゲモニーが誰の手にあるかなんて分かりきったことだったわね

    まるで子供の喧嘩のようなきっかけでこんなにも簡単に世界は終わる


    鞘に納まる程度の闘志ならば、獅子にはなりえないだろう

    世界に溢れている嘘が君を傷つけるなら僕は世界を滅ぼすだろう

    口を噤んで耳を塞いで、そうやって何が救われるのかしらね

    まるで真冬の太陽のように、霞んでいく

    呼べない名前は、忘れられない名前だから

    足元から崩れる現実にしがみつく、愚かな生き物

    途方に暮れる子供のような僕ら

    *ドンファンのように甘い台詞は吐けないけれど

    一番冷酷な言葉を、君は知っていたんだ

    鳴り響く警鐘の意味なんて誰も教えてくれなかった


    おそらく、一生僕が口に出すことの無い言葉だろうね

    悲しくて悲しくてどうしようもなく心は痛むのに、それでも、泣けなかった

    だって僕は、それ以外に何も知らない

    忌むべきは、世界か俺か

    神が与える*テーゼを論ずだけが能じゃないでしょう

    性格の不一致なんて理由にならない

    *ミノス王の罪にもし名を与えるならそれは

    愛に溺れて息も出来ない

    真実を告げる声の、あの惨酷さを知れ


    他には何もいらなかったし、きっと望まなかった

    もしも、それが正義だと君が言うのならきっと僕は悪なんだろう

    月の無い夜に、君を探しに

    真理を踏みつけて、詭弁を振りかざして

    崩壊していく自我を必死に掻き集めて、俺は必死に立っていた

    鋭利な言葉の中に折り込まれた抱えきれないほどの優しさ

    君の真意がそこにあるなら私はただ黙って背中を押すだけよ

    この枯渇を満たして僕を救って

    この空白は決して埋まることはない

    一体誰があの*メシアに救済を与えることが出来るのだろうね


    たとえそれが破滅であったとして、もう後戻りは出来ないの

    窮屈な世界を一蹴して、そうして世界を蔑んで

    闇色の狂気と深淵*パラノイアと

    僕に響く*トレモロ、君が刻むシグナル

    *シノプシスを塗り潰せ

    聡明さの欠点を敢えて指摘するならばそれは

    利害の一致を愛だと騙る

    無遠慮な好奇心は軽蔑に値するから

    そうして、世界を照らす光となれ


    塗り固められた過去を深く沈めて

    更なる奥に存在するモノ

    世界は慟哭し、空は涙を流し、けれど人は悲しむことすら出来ないのだ

    許されるのかと問うのは、きっと卑怯だ

    *マキアベリズムを翳すのは、全て貴方の為になると信じているから

    消しゴムで消すように、酷く簡単に

    ずっと気付かなければいいのに、やっぱり必然なのかしら

    これから殺そうとする者の瞳を決して覗いたりするなよ

    たとえば僕の*ベクトルが君に向いているとして

    相思い草なんて、笑えない名前






    ■マイ・フェア・レディ・・・マザーグースのロンドン橋の歌に出てくる。
                人柱になった女性のこと(を指すという説がある)
    ■ヴィンテージ・・・極上の
    ■ヘゲモニー・・・指導権
    ■ドンファン・・・スペインの伝説上の人物。女たらしの代名詞。
    ■テーゼ・・・命題
    ■ミノス王・・・ギリシャ神話に登場する。クレタ島の王様。
    ■メシア・・・救世主。
    ■パラノイア・・・偏執病
    ■トレモロ・・・震音
    ■シノプシス・・・あらすじ
    ■マキアベリズム・・・マキャベリズム。目的のためには権勢ずくで手段を選ばないやり方、権謀術数主義。
    ■ベクトル・・・平面・空間で直交する座標軸の向きに単位の長さをとったもの。向きと長さを持ったもの
    ■相思ひ草・・・煙草のこと。